2022年2月28日月曜日

三寒四温

寒い日が三日間くらい続くと、そのあと四日間くらいは暖かい日が続くということ。 ちょうど春が近づいてきている今の季節の言葉かと思います。 お別れの季節です。 卒業生37名へ 卒業まで残り数日。直接言葉にして伝えるのは恥ずかしいけれど、伝えておこう! 君たちが卒業することを考えると、とてもさみしいです。 教師になって君たちが初めての卒業生です。 まだ生徒としてしか卒業式を経験していないので、教師としてどのように過ごしたら良いかわかりません。 自分が中学生の時の卒業式を思い返してみると、温かい気持ちになります。 始めはわけのわからなかった「中学校最後の返事」 「学年の仲間たちとの最後の合唱」「悔いのない卒業式に」と先生方に教えられ 卒業式に緊張しながら参加したことを覚えています。 最後の合唱で隣の子が泣き出してしまい、自分ももらい泣きしたことを思い出します。 そのまま泣きながら退場して、学級に戻っての最後の学活。 担任の先生が1年間の思い出を振り返って、自分たちの成長を褒めてくれたこと、嬉しくてさみしくて泣いたこと。 担任の先生への感謝の言葉を込めての「ありがとうございました。」のあいさつ。それをすごく喜んでくれたこと。 地元を離れて栃木県の教員になる事を決めた私。 栃木の教員になると決めたばかりの時は、友達が近くにいないことが こんなにさみしいものだとは思いませんでした。 初めのうちは、仲良くなるまでに時間がかかった君たちも、あいさつを交わすのがやっとだった君たちも、 今では、ミスをしたら「またか~」って笑ってくれて、 もの忘れをすると「もう!しっかり!」と喝を入れてくれて・・・ くだらないことで笑って、ちょっといじると怒って言い返してきて。 友人が近くにいない、私にとって毎日会う君たちは生徒というよりも、友達のような存在でした。 そんな、大切な君たちを、見送る業式。 どういう卒業式にすればいいのか。なんと言葉をかければ良いか。 まだまだ浮かびません。というか、この2年間君たちと過ごすことが 「当たり前」すぎて、その当たり前がなくなることが想像できません。 けれども、きっと私は精一杯、私のできる限りで君たちを見送るので、 君たちも精一杯見送られてほしいと思います。 どんな心をもって臨むかは、君たちが1年生の頃から教わってきているので、 一番分かっていると思います。 君たちらしい、私たちらしい卒業式にしましょう! 3-2担任でした。 次回はボクサー兼スキーヤーの3-1担任です

2022年2月16日水曜日

かけがえのない出逢い




  今年1月末、豊田中学校生徒会の発案で「トンガ救援基金」のための募金活動が行われました。 生徒が自主的に協力活動を行い、トンガが海底火山噴火の影響で大変な被害にあっている苦しい状況の中、生徒会本部役員とJRC美化委員で連携し、豊田中学校全体で手を差し伸べようとしたその活動は、私にとって心の底からうれしく思えることでした。勇気ある優しい生徒たちの大きな一歩に、感謝せずにはいられませんでした。 

実は、数十年前に私は1年間だけトンガ王国の南に位置しているニュージーランドで 生活していたことがありました。その時にお世話になったホームステイ先の第三の父、クライドのことをトンガの募金活動を通して、思い出すことができました。 
 クライドはよく出張でトンガやサモアに行き、道路の建設や信号機を設置する仕事をしていたのです。物静かでいつも穏やかなクライドは、休みの日は妻のヘレンと庭や畑仕事をしたり、家や車の中でクラシック音楽を聴いたり、読書したりするのが好きでした。ペットの犬、クラウイーを可愛がり、数種類の指笛でクラウイーに指示を与えコミュニケーションを取る素敵なニュージーランダー、Kiwiでした。(ニュージーランド人をキウイと呼んでいます)

  私は中学生の頃、毎週楽しみにしていたテレビ「大草原の小さな家」を見て、海外生活に憧れを抱き「将来、海外に行く」という大きな夢や目標を初めて持ちました。  
 *自分がアルバイトで貯めたお金で一年間海外で生活してみたい  
 *スローライフ、丁寧な暮らしがしたい(本場羊毛100%セーターを両親に編んで
  送りたい、手作りジャム・パン・ケーキなどを作り学びたい)  
 *生きた英語を学び、習得したい  
 *NZ(ニュージーランド)の国立公園にある美しい山々を山小屋に宿泊しながら
  トレッキングを楽しみたい  
 *ワーキングホリデービザや国際ドライバーライセンスを取得して、
  スキー場やパン屋さん・果物や野菜の農場で働きたい  
 *NZや世界中の友達を作りたい    などなど。  


    

 このように、色々と具体的にやりたいことをリストアップしながら、学生時代に アルバイトをいくつかかけもちして渡航資金を貯め、出発前までの約10年間準備していました。 

 NZでは、お金には代えられないほどの貴重な経験をたくさんすることができました。 
オークランドから東に車で約2時間半の所に位置するコロマンデル半島の海岸沿いにある
水辺の町、フィティアンガの小さな語学学校に留学しました。 
映画「ナルニア国物語」の撮影の舞台になった所です。 
留学最初の6週間は、日本人やドイツ人、スイス人、スペイン人、韓国人、 合わせて10人くらいのビギナーズクラスに入りました。 午前中はクラスでの授業(文法・リーディング・ディベート) 午後はクラスの全員で大自然を満喫できるアウトドアスポーツとして(クリケット、 ゴルフ、海釣り{真鯛、マトウダイ}、乗馬、ロッククライミング、カヤック、ボディボー ドなど) 自然散策として(ブッシュウォーク、200種類のシダ植物や「森の父」や「森の神」と呼ばれる樹齢2500年に達するカウリの巨木(屋久島の屋久杉と姉妹木協定を結んでいるそうです)。クラフトワークとしてボーンカービング、ステンドグラス、お皿の絵付け、 シルクスカーフの染色、トゥ-ルペイント、リサイクルペーパー作り)などなど。 色々な国の人たちと一緒に楽しくコミュニケーションを取りながら、様々なアクティビティを体験することで、実践的な英語を身に付けることができました。

 

 留学期間を6週間残して学校から離れ、先に北島と南島の観光地をバスやフェリー、電車を乗り継ぎながら、旅して歩きました。旅先で、WWOOH(ウーフ)という制度を知り ファームステイをすることにしました。それは農家さんのお宅に宿泊して平日、一日 4時間の労働と引き換えに宿と食事を無料でいただくファームステイのことです。
 NZの生の生活を味わうことのできる素晴らしい制度です。

 ホストの農家さん家族と一緒に畑仕事をしたり、料理や掃除をしながら話しをすることで、生きた英語が自然に身に付きます。 北島で2か所、南島で1か所ファームステイしました。オークランドから車で30分離れたところに、クミューというまるで緑の海のような牧草地や果樹園が広がる心休まる小さな町があります。最初に紹介したクライドとヘレンの家族が住んでいる所です。 私の旅行計画やスキー場でのアルバイトなど私の都合に合わせ、まるで我が子のようにいつでも快く迎え入れて下さり、合わせると3カ月くらいと一番長くファームステイさせてもらいました。ヘレンが広い畑で野菜(ほぼ全種類主にジャガイモ)や果物(キウイ、 カキ、グレープフルーツなど)を有機栽培しており、私はいつもヘレンと一緒にいて 畑仕事、家事、買い物など手伝いました。ヘレンから教えてもらったことは私にとって、価値ある財産になっています。 
 ●ヘレンから教わった事リスト  
*野菜や果物、草花の育て方、コンポスト(栄養豊富な堆肥)、雨水の活用法(エコ活動につながっている)   
*手作りパン、ケーキ、スコーン、ジャム、ニュージーランドの家庭料理(シェパーズパイ、スタッフドクマラ、キッシュ)  *セーター、カーディガンの編み方やクロスステッチの刺繍  
*羊とヤギ(約20頭ずつ)の飼育、出産  などなど






   ヘレンとクライドには2人の子供がいます。長女ローナと長男ブライアンです。2人とも 当時の私の年齢に近かったので、時間が合えばローラースケートを滑りに行ったり、オークランド市内に買い物に連れていってくれたり、オークランドからフェリーに乗って、ベストアイランドで世界5位に選ばれた、ワイヘケ島にある白い砂のビーチで遊んだり、野生のイルカ、🐧ペンギン、アシカを見たり、ランギトト島ではバードウォッチングしながらトレッキングを楽しんだりしました。 


  こうしたたくさんの経験は数十年たっても記憶が蘇り、その当時のことを鮮明に覚えているものだなぁと思いました。たった一年だけでしたが、その一年は色濃くその後の私の人生を豊かなものにしてくれました。

 日本とニュージーランド、住むところは違ってもヘレンとクライドの家族には、何かの縁があって出会い、つながりを持つことができました。 まだまだ、お話ししたいことがありますが、また機会があったらその後のお話をさせて下さい。




  若い生徒の皆さんには、時間はたくさんあります。若いうちに何か一つ目標を決め、 情熱を持ち、そのことに向けて勇気を持って大きな一歩を踏み出すことは大切です。 今やりたくてもできないこと、これからやってみたいことなど、一つ一つ順番にやっていって下さい。小さな毎日の積み重ねが自分の夢へとつながっています。夢を一つでも多く持ち、あきらめず、ひたむきに目の前のことからコツコツとやっていけば、いつか必ず 光が差し、チャンスが巡ってくるはずです。明るい未来へ羽ばたいていって下さい。 応援しています‼ 
次回は3年2組アイドル先生で~す。お楽しみに!