2021年7月7日水曜日

心の止まり木を探してみよう

こんにちは。今回の絆プロジェクトは2年2組担任がお送りします。

雨の日が多いこの季節、外出が難しいですが、その分読書がはかどりますね。
というわけで、前回に引き続きお気に入りの本を紹介していきたいと思います。



今回ご紹介するのはこちら。



『考える教室 大人のための哲学入門』
(若松栄輔、NHK出版)という本です。

「大人のための」と書いているのですが、
中学生にとっても身近な話題がたくさん挙げられています。

例えば、 “はじめに-「読む」とは何か” の一節には、
次のように書かれています。

学校では、教師がどう理解したかについて教えることが多いように感じられます。しかし、私たち個々の人生にとって大切なのは、人の考えを鵜呑みにすることではなく、それと向き合い、自分の考えを深めていくことです。



「哲学」と聞くと、見えない世界のことや見えないもののことを考える、難しい学問のイメージがあります。しかし、この本を読むと、そんな哲学のイメージがまるごと変わります。ソクラテス、デカルトといった有名な哲学者さえも
「よく生きるってどういうことだろう」
「なぜ学ぶんだろう」
といった、とても身近なことに悩み、真剣に考えていたことが分かります。



学ぶことについて、デカルトという哲学者は
「ある種の精神の持ち主は、他人が20年もかかって考えたことすべてを、2つ3つの言葉を聞くだけで、1日で分かると思い込」んでしまう
と語っています。

例えば、中学3年生の数学で習う「平方根」の考えは、今から3000年以上昔から考えられていたものだということが分かっています。長い長い時間をかけて、数え切れないほどの人たちが悩みながら、改良してできたものが、今の教科書に書かれている「平方根」の考え方なのです。

こうした内容を1度の授業で完全に理解するのは、なかなか難しいことです。
もしかすると
「なんでこんな面倒なことを昔の人は考えたんだよ!」
「なんでこんなの勉強しなきゃいけないんだよ!」
とすら思うかもしれません。
でも、そこで考えるのを諦めたり、分かったつもりになったりせず、昔の人たちがたどってきたように悩み続けながら、答えに近づいていくことが大切だということを、デカルトは言っているのです。



そんなデカルトの言葉を踏まえて、「学ぶこと」について若松さんはこう言います。

勉強をすることは、もちろん素晴らしいことです。でも、どれだけ勉強しても私たちはそこから、人から教えられたことしか学ぶことができません。自分で探さなければならないことは、自分で探すしかない。デカルトはそのことに気がついた。真の学びとは、勉強の外に自分が出会うべきものを見つけることなのではないか。デカルトはこう考え始めるのです。



2週間後には夏休みが始まり、自分の時間が増えることと思います。たくさんある時間を使って、「自分が出会うべきもの」を探す夏休みも良いかもしれませんね。


※ 概要欄にデカルト著『方法序説』など、おすすめの本も載せられています。



次回もお楽しみに!