2020.5.8
教務主任
豊田中学校のみなさん、こんにちは!元気に過ごしていますか。5月に入ってから一週間が過ぎました。季節もいつの間にか春から初夏へと移り変わり、緑も日ごとに鮮やかさを増してきました。窓から入ってくる風も爽やかで、何をするにも気持ちのいい季節になりましたね。
さて、この頃の季節を表す言葉に「薫風(くんぷう)」という言葉があります。「初夏、新緑の間を吹いてくる快い風」の意味で「風薫(かぜかお)る」とも読み、これを季語とした俳句も多く詠まれています。
薫風に 指揮者もをどる シュトラウス
これは、 日本の俳人、林翔(かける)(1914~2009)の作品で、薫風を季語に用いた俳句の中で私の中ではダントツのベスト1★です。(有名な俳人ではないので知らないと思いますが、出身大学が同じなので先輩なのです!…といってもだいぶ先輩ですが(..;))この句を口ずさむと初夏の爽やかな風がワルツのリズムに乗って吹いてきて、頭の中は「青く美しきドナウ」が流れ出すのです♪
この爽やかな季節に外で思いっきり遊べないのはとても残念ですが、庭に出たり家の周りを歩いてみたりするだけでも、充分初夏の雰囲気は味わえると思います。ぜひ清々しい薫風を肌で感じてみてください。
話は変わりますが、4月23日~5月12日が何の週間か、みなさん知っていますか?答えは「こども読書週間」です。秋の全国読書週間はお馴染みだと思いますが、この時期の読書週間は知らない人が多いのではないでしょうか。実は歴史は古く、1959年(昭和34年)に始まったものです。当初は5月1日~14日の「こどもの日」をはさんだ2週間でしたが、2000年の「こども読書年」を機に、3週間に延長されたのです。これが今年のポスターです。
――出会えたね。とびっきりの一冊に。――
本との出会いは人との出会いに似ています。人との出会いが人生を変えることがあるように、本との出会いがその後の人生を大きく変えることだってあるのです。みなさんも、そんな本との素敵な出会いを大切にしていってほしいと思います。
最近私が読んだ本の中から、中学生のみなさんにお薦めの一冊を紹介します。それは、伊坂幸太郎の「逆ソクラテス」です。5つの話からなる短編集で、どれも主人公は小学生です。「敵は先入観。世界をひっくり返せ!」のワクワクする帯文と「伊坂幸太郎史上、最高の読後感。デビュー20年目の真っ向勝負!」のうたい文句に惹かれて買った本でしたが、あっという間に読んでしまいました。期待を裏切らない最高の読後感!もともと伊坂幸太郎さんの作品は好きでしたが、思うに伊坂さんの作品は「先入観を捨てて、自分の頭で考えろ。自分の目で物を見ろ。」というメッセージが込められたものが多いような気がします。大人が読んでももちろん面白いのですが、これから大人になる中学生のみなさんに、ぜひ読んでほしい一冊です。これから長い人生を生きる上での指針となるであろう心を打つメッセージがたくさん散りばめられています。この本を読んで大人になる子どもたちが多ければ多いほど、この先の世の中、いじめや、大人からの理不尽な暴力で泣く人たちが少なくなっていくはずです。
この読書週間を機に、みなさんにとってのとびっきりの一冊を見つけてみてはいかがですか。